はじめに
この記事では、pNounがフルオンチェーンのNFT(pNounsNFT)の販売で得た資金でNounsのオークションに立ち向かうための準備と落札までの過程を紹介します。
pNounsの目的は、NFTの売り上げを資金として、Nounsを落札し、日本発の企画をNouns DAOに提案して、トレジャリーを有効活用することです。
pNounsがオークションのための資金を調達した時点で、Nouns DAOへの提案には2体のNounsが必要でした。
pNounsNFTを販売して得た資金をどのように管理して、Nounsのオークションに挑んだか、そしてオークションでどのよに2体のNouns落札まで至ったのかをDiscordのコメントに沿って時系列で紹介します。
この記事がpNounsの理解に少しでも役立てばと思います。
なお、pNounsNFTでオークション参加ための資金集めについては、前回の記事で紹介しているので参考になればと思います。
pNounsが2体のNounsを落札するまでの過程
Nounsをオークションで落札するには、単にお金を集めるだけでは実現できません。
pNounsではオークションに参加するためのお財布=マルチシグウォレットを準備しました。
また、事前にそのマルチシグウォレットでNounのオークションサイトに接続、入札ができるかを確認し、落札したNFTがちゃんとマルチシグウォレットで受け取れるのか?ということを地道に確認していました。
これらのことはわかってしまえば当たり前のことなんですが、大きなお金を扱うことから、絶対に失敗はできないという思いで準備を進めていました。
2022/10/17
パジさんの指示のもと、pNounsNFTの売上金とNounsを保管するためのマルチシグウォレットを準備することになる。
pNounsの発足が10月15日ですから、その2日目にはマルチシグウォレットの話が出てきていたことになります。
pNounsNFTを販売して得た資金をどのように管理するかという課題は、早々にマルチシグウォレットで管理する方針となりました。
というのも、会ったこともないメンバーが集うプロジェクトにおいて、万が一にも資金の持ち逃げがあるとプロジェクトにとって致命傷になるという観点からでした。
マルチシグウォレットを簡単に説明すると、複数のアドレスの承認を必要とするウォレットになります。
また、資金をマルチシグウォレットで管理することから、必然的にNounsのオークションの参加もマルチシグウォレットで行うことになりました。
今となってはマルチシグウォレットでNounsのオークション参加やNFTの保有は当然のように実行できるのですが、この時のメンバーの経験や知識では把握できておらず、大きなお金を取り扱うということで、1つずつ経験がない部分を確認するということを行うことになりました。
2022/10/19
aratamaさんがマルチシグウォレットについて調査を開始。
aratamaさんがGonis Safe(現Safe)を触り始めました。
その過程でアールグレイが以前に書いていたマルチシグウォレットGnosis Safeについての記事がDiscord内で紹介されました
2022/11/1
アールグレイが自身のマルチシグウォレットをNounsのサイトに接続して、テスト入札を行えたことを報告。
入札に成功した際の経験はこちらの記事にまとめていますので参考になればと思います。
この時点で、pNounsは❤️いいねチャレンジに力を入れることとなり、マルチシグウォレットの動作確認は一旦停止することに。
2022/11/7
❤️いいねチャレンジが成功する!
2022/11/13
マルチシグウォレットのオーナーアドレスへ参加するメンバーが決まる。
マルチシグウォレットのメンバーとは、マルチシグを動かすために必要な承認権限を持っているオーナーアドレスを持つメンバーです。正確にはマルチシグウォレットを動かすために必要な承認権限を持っているウォレットを操作できるメンバーになります。
pNounsののDiscordでは「Multisig-member」というロールが付与されています。
2022/11/17
アールグレイがGnosisでpNouns用のマルチシグウォレットを作成し、仮メンバーを登録を行う。
この時、マルチシグウォレットを動かす承認数は全20ウオレット中6ウォレットで設定しました。
2022/11/18
pNounsのマルチシグウォレットでNounsのサイトに接続できることを確認
Uniswapのスワップでマルチシグウォレットの承認テスト実施
aratamaさんマルチシグウォレットからERC721のNFTの送受信を確認
今ではマルチシグウォレットを当たり前のように使えてますが、この時はサイト接続、スワップ、NFTの送付や受け取りについても未経験だったので、色々と実際に動かして試していました。
2022/11/19
Fuyu256さんがNounsのオークションにおいて、マルチシグウォレットを使って入札・落札したNouns(NFT)を受け取っているアドレスを確認。
これまでマルチシグウォレットでNounsを持っているアドレスを把握していなかたので、これは大きな収穫になりました。
これでpNounもマルチシグウォレットでNounのオークションに入札、落札、NFTの受け入れがマルチシグで可能なことがわかりました。
ちなみに、このことをきっかけにして、Nounsを持っているアドレスがマルチシグウォレットであるかどうかを調べる方法がわかりました。
2022/11/21
マルチシグメンバーによる入札を練習するため、Fuyu256さんがNounsと同様のオークション(Nounsと同じシステム)への参加を提案され、Foodnounsでのオークションに参加することが決定。
この日の夜に初の入札を行うも、予定入札額を上回る入札があり途中でキャンセルを行いました。
この時に、改めてマルチシグウォレットでは複数の承認手続きが必要になることから、実際に入札が完了するまでに時間がかかることが実感としてわかりました。
普段は別の仕事をしているメンバーが同じ時間に集まるのが難しいということが改めて思い知らされることになりました。
また、入札手続き中に、予定入札額を上回る別の入札が入ると、手続きをキャンセルしてからしか再入札ができないことがわかり、マルチシグウォレットでは、一旦承認手続きを始めると、次の手続きの承認は順番待ちとなるもわかりました。
2022/11/22
Foodnounsへの入札の再チャレンジを行い、落札しマルチシグウォレットに入る。
Nounsのシステムをフォーク(コピー)したオークションサイトにおいて、初めてNFTを落札することができました。
2022/11/24
マルチシグの承認数を全20ウォレット中10ウォレットに引き上げる。
2022/11/25
中島さん「Alphabet Token」を mainnet にデプロイしたことの連絡があり、売り上げをマルチシグに自動送金する際にエラーが出ることが中島さんから報告がある。
このことをきっかけにマルチシグウォレットへは自動でETHを送金できないことがわかりました。
2022/11/26
中島さんから「Alphabet Token」の売上金をマルチシグで受け取る🙏
pNounsNFTのミント時のETHも同様にミント時のETHをマルチシグウォレットに自動送金できないことがわかる(eibaさんがテストネットで確認)。
このことを受けて、pNounsNFTの売り上げのETHはコントラクト内にプールしてから、手動でマルチシグウォレットに送金することとなりました。
2022/12/2
pNounsNFT2の売上から経費を差し引いたETHがマルチシグに入金される。
2022/12/11
マルチシグウォレットの承認数を10/20から11/20に引き上げる。
この手続きで、マルシグウォレットでpNounsNFTの売上金を受け取る準備が整い、本番環境に移行した形になりました。
2022/12/16
pNounsNFTの売り上げ98.3ETHがマルチシグに入金される。
pNounsNFTのコントラクトオーナーもマルチシグウォレットに変更される。
色々とトラブルがあったpNounsNFTの販売が無事に終わり、Nounsのオークションへ参加するための資金がマルチシグウォレットに準備されました。
また、pNounsNFTのコントラクトオーナーもマルチシグウォレットに変更され、マルチシグウォレットがpNounsの重要なお財布としての活用が始まることになります。
2022/12/20
ENS「pnounsdao.eth」の取得に動くもオークション参加を優先させるために手続きはペンディングとなる。
ENSを取得する手続きは複数あるので、通常のウォレットであればすぐに取得して設定できるのですが、複数の承認が必要なマルチシグウォレットでは時間がかかるため、ENSの取得手続きの途中でペンディングとなりました。
2022/12/21
udon1GOさんがNounsの入札に動くことをメンバーに打診される。
入札の予定をしていない早いタイミングでのUdon1GOさんの打診は、みんなが半信半疑だったと記憶しています。
今思えばメンバーを引っ張っていくリーダーシップは流石と思う次第です。
この日、アールグレイが入札のためにマルチシグウォレットを操作しようとするも、外出中のPCにマルチシグウォレットが入っていない痛恨のミス。
その後、aratamaさんが入札手続きを実施することになりました。
初の入札は31ETH。
aratamaさんがマルチシグウォレットの開始を意味する掛け声「マルチシグ走りました!」が出たのがこの時です。
マルチシグウォレットのサイトではこのように承認したウォレットが上から下に繋がっていき、リレーのようにバトンが繋がっていきます。
そして承認数が規定の11になり最後の承認が行われることで、オークション終了間際に入札が完了。
pNounsの記念すべき初めての入札になります。
再入札に向けてマルチシグウォレットの承認手続きが開始されましたが、この時は残念がら承認手続きが間に合わず、オークションが終了してしまいました。
文字だけでは伝え切れないですが、手に汗握るとはこのことでした。
今までになくPCの画面を興奮して見ていたことを鮮明に記憶しています。
そしてpNounsのメンバーが入札の際のDiscord内の盛り上がりを見て、次回のオークションの実況スペースが予定されることになりました。
1回目のオークション参加において、外出先でのマルシグウォレットの操作が課題となったため、アールグレイがスマホでの入札手順を共有した内容をこに貼り付けておきます。
2022/12/22
Noun551のオークションに参加するも落札できず。
2回目のオークションは35.02ETHまで入札するも落札できませんでした。
この日の実況スペースはこちらに録音されています。
2022/12/23
Noun552の入札はマルチシグウォレットの承認手続きと、別の人の入札競争になり、結局、pNounsは入札ができずに終わってしまう。
pNounsが入札しようとする金額を承認手続き中に他の人がそれを上回る入札金額を入札し、結局入札できないという事態になってしまいました。
このことを受けて、マルチシグウォレットの手続きタイミングや上乗せ額などの入札戦略が練らることになりました。
この日の実況スペースはこちらに録音されています。
2022/12/24
Noun553のオークションでpNounsが落札する。
pNounsの記念すべき1体目のNoun553の落札はクリスマスイブの12月24日でした。
この日の実況スペースはこちらに録音されています。
この日のpNounsの準備は万端で、マルチシグウォレットの承認手続きは爆速でした。
あっという間に1回目の31.28ETHの入札が完了します。
上乗せの入札があっても、すぐにマルチシグウォレットの承認手続きが完了。
2回目は33.51ETHを入札。
まさにチームが一つになっている感覚です。
そして、3回目の入札を35.9ETHで実施。
この入札金額でつに落札が成功しました。
落札直後のNounsのオークションページ。
ここからaratamaさんがNoun(NFT)を受け取る手続きを行いました。
Nouns落札者しか見ることができない領域です。
グループなどを登録するフォームが表示されるということを初めて知ることができました。
この後、pNouns内でちょっとしたトラブルがありました。
もう時効だと思うので、ここで書き留めておこうと思います。
それはNounsの落札により、pNounsNFTの絵柄を変更するトランザクションがマルチシグで承認されるも、一旦リビール前に戻すことになったんです。
元々、pNounsNFTは絵柄がステージによって変化する仕様にしていました。
オークションでNounsを落札したことによって予定通り絵柄を変更(リービール)したのですが、リビール祭りを行うということがその後に決定したので、急遽元に戻した次第です。
そのリビール祭りは、12/30にUdon1GOさんのNunishCNPのミントと同時開催が決定しました。
そして、pNounsは2体目のNouns落札に向けて動きます。
pNounsはNounsへの提案を行うためにNounsを入手することを目的としていました。
この時点で、Nounsの落札価格は30ETH強だったので、手元資金から税金分を引いても、もう1体分のオークションに参加できる余裕がギリギリあることから、2体目の落札に向けて動くことになりました。
2022/12/26
Nouns555のオークションでは36.27ETHまで入札するも落札ならず。
2022/12/27
Nouns556のオークションでpNounsが31.85ETHで落札する。
実況スペースはこちらに録音されています。
これでpNounsは2体のNounsを保有することになりました。
2体のNounsを保有する意味はNounsにとって大きな意味を持ちます。
それは、Nounsのトレジャリー資金を使うための提案を出せるようになるということです。
Nounsのサイトにマルチシグウォレットを接続すると下の画像のように提案を出すボタンがアクティブになりました。
pNounsの目的であるNounsのトレジャリーを活用する道が2体のNounsホルダーになることで切り開くことができた瞬間です。
これが2体のNounsを保有することで見ることができた提案画面がこちら。
最後に
2022年末に無事に2体のNounsを落札したpNounsはその後、NounsのサブDAOとして活動することになります。
マルチシグウォレットの設定が残っていたので、2023年年始早々にENSの手続きを終わらせて、DAO投票に使用するsnapshotを立ち上げることになります。
2023/1/1
ENSの手続きを再開
2023/1/2
pnounsdao.ethが設定される
2023/1/2
アールグレイがsnapshotの立ち上げを始める
この記事では、pNounsがマルチシグウォレットを使ってみんなでNounsのオークションに参加し、2体のNounsを落札するまでの記録しました。
この記事がpNouns⚡️の理解に役立てば幸いです。
こちら。
pNouns⚡️のHPは