はじめに
この記事ではオンチェーン化されたProp Houseでハウスを作ってラウンドを開催する流れを解説します。
これまでは、Prop Houseでラウンドを開催しようとすると、運営への連絡などの手続きが必要だったんですが、オンチェーン化によって誰でも、自由にラウンドを開催できるようになりました。
Prop Houseの仕組みを簡単に説明すると、ラウンドを開催する人は、ハウスを作ってその中のラウンドで提出される提案に投票と資金提供を行うことができます。
ハウスはラウンドを開催するテーマやコミュニティごとに設置する感じです。
オフチェーン時代のProp Houseでは多くのラウンドが実施されてきた実績があります。
→オフチェーン時のProp Houseはこちら
この記事を書いている時点で、オンチェーン版のハウスも数多く登録されています。
Nounsからの資金提供で運営されているハウス「Nouns」では、「Garden Round 4」や「Builders Build」というラウンドが開催済みです。
ラウンドでの提案は誰でも行うことができる仕組みになっていて、投票権として設定できるのは、NFTやトークンです(ERC-721、ERC-1155、ERC-20、ALリスト)。
リワードにもNFTやトークンを設定できるようになっています(ETH、ERC-20、ERC-721、ERC-1155)。
リワードはラウンドを作った後にラウンドのコントラクトにデポジットする形になります。
その他、ラウンドの開始時間、提案期間、投票期間を設定してラウンドを作成します。
Prop Houseのオンチェーン化に伴って誰でもラウンドを開催できるようになったので、コミュニティに新しアイデアを提案したり、新しいメンバーの参加を促すツールとして活用するハードルがグッと下がった感じです。
以下では、実際にProp Houseでハウスを作ってランドを開催する流れを紹介します。
加えて提案、投票、リワードの受け取りのやり方も掲載したので、Prop Houseで開催されるラウンドのすべての操作を把握できる内容になっています。
Prop Houseでラウンドを開催したい人の参考になればと思います。
Prop Houseでハウスを作ってラウンドを開催する
一番はじめはハウスとラウンドを同時に作る作業から始めます。
ハウスを一度作れば、その中でラウンドを追加していくことが可能で、1つのウォレットアドレスで複数のハウスを持つことも可能になっています。
Prop Houseでハウスとラウンドを作る
まず、Prop Hounsのサイトにアクセスして右上の「Connect」をクリックしてウォレットを接続します。
ウォレットを選択して接続します(私の場合はMetaMask)。
Prop Houseのサイトに接続がしたら右上か中央付近にある「Create a round」ボタンをクリック。
初めてラウンドを作成する場合は、ハウスの作成も行うので、「Create a new house」をクリックします。
(すでにハウスがある場合は、下のように作成したハウスが表示されます)
まず、ハウスの設定を行います。
「Upload image」でハウスのイメージ画像をアップロードし、「House name」にハウスの名前、「Describe your house」でハウスの説明文を入力したら「Next」をクリックします。
(説明文はリンクを挿入したり、文字の装飾ができます)
続いて、資金提供を行うラウンドの設定です。
「Round name」にラウンドの名前、「Describe your round」にラウンドの説明を入力したら「Next」をクリックします。
次はラウンドの投票権を設定します。
この記事では特定のNFT(pNounsNFT)を指定する設定を行います。
「Add a voter」をクリックします。
(個別にアドレスを設定する場合はUpload CSVを選択してください)
続いて、設定したいNFTの規格を選択し、コントラクトアドレスをOpenSeaなどからコピペします。
今回はpNounsNFTを設定しました。
(ERC-721、コントラクトアドレス:0x4bE962499cE295b1ed180F923bf9c73b6357DE80)
「Votes per token」には、NFT1枚あたりに割り付ける票数を設定します。
ここでは1枚のNFTに10票を割り当てる設定としました。
(投票者は10票を複数の提案に振り分けて票を投じることができるようになります)
「Add」をクリックして元の画面に戻ります。
なお、NFTのERC-1155の設定や、ERC-20の指定もできます。
続いて「Next」をクリック。
次に、リワードの設定を行います。
得票数が多い順に1位から3位までに与えるリワードを設定でき、それぞれ選んで設定します。
1位の「Add award」をクリック。
今回の記事ではETHを0.001ETH付与する設定を行いました。
続いて「Next」をクリック。
ここではラウンドのスケジュールを設定します。
「Round start time」でラウンドの開始時間を設定します。
日付を選んだ後に時間を設定します。
この画面で時間を設定します。
続いて「Proposal Period」で提案期間、「Voting Period」で投票期間を設定したら、「Next」をクリック。
これで全ての設定が完了です。
間違いがないことを確認したら、「Create round」をクリックします。
メタマスクが立ち上がるので、「確認」をクリックするとハウスとラウンドをオンチェーンに刻むためのトランザクションが走ります(ガス代が必要)。
(ガス代も含めたETHがウォレットに入っていないとメタマスクが立ち上がらないので注意してくださいね)
これでハウスとラウンドの作成が完了です。
続いて、リワードのETHをラウンドにデポジットします。
Dashboardで作成したラウンドをクリックします。
「Add asset」にラウンド作成時に設定したETHの数量を入れて「Deposit」をクリックします。
(デポジットするETHはあらかじめハウスを作成したウォレットに入れておいてください)
メタマスクが立ち上がるので「確認」をクリックすると、ウォレットからラウンドにETHが送金されます。
完了するとラウンドの「Deposit awards」が「Fully funded」と表示されます。
この状態になると、予定通りラウンドが開始されることになります
もし、リワードがデポジットされないと、ラウンドの開始時刻になっても提案の受付が開始されないので注意してくださいね。
ラウンドは開始されるまでこのような表示になっています。
Prop Houseで作ったラウンドをキャンセルする
作成したラウンドはキャンセルすることが可能です。
キャンセルするには、ラウンドの設定画面の「Cancel round」をクリックして「Cancel raound」をクリック。
メタマスクが立ち上がるので「確認」をクリックして承認します(ガス代がかかります)
これでラウンドがキャンセルされました。
キャンセルするとETHやNFTをデポジットしていた場合は回収できるとのことです。
Prop Houseのラウンドに提案を提出する
ラウンドの開始時刻になると、提案ができる状態になります。
提案は誰でもできることになっていて、「Create your proposal」をクリックして提案を作成します。
「Title」、「Tldr」、「Description」にそれぞれ入力して、「Submit」をクリックすると提案を提出できます。
「Tldr」はToo Long, Didn’t Readの略で「要約」。
「Description」には文字の装飾やリンク、画像の挿入が可能です。
上で「Submit」をクリックするとメタマスクが立ち上がるので「署名」をクリックします(ガス代はかからないです)。
提出した提案がラウンド内に表示されるのを確認してください。
提案の提出は署名だけなので、ブロックチェーンには刻まれず、サイトに記述される仕様みたいですね。
Prop Houseの提案に投票する
続いて、投票期間が開始されると、投票権を持っているアドレスでウォレットをProp Houseに接続することで投票が行えます。
投票する際は2箇所から手続き可能です。
1つ目は、ラウンドの画面で表示される提案の右下です。
票数を入力して「投票する」をクリック。
2つ目は提案内容を表示した際の右下です。
先ほどと同様に票数を入力して「Submit votes」をクリックします。
ポップアプ画面が表示されるので投じる票数を確認したら「Sign and submit」をクリック。
続いてメタマスクが立ち上がるので「署名」をクリック(ガス代はかかりません)。
これで投票が完了です。
リワードを受け取る
投票期間が終了してから勝者がウォレットを接続すると自身の提案に👑マークがついて、「Claim your award」が表示されます。
「Claim your award」が表示されてリワードを受け取れるようになるのは投票終了後の約6時間後とのことです(実際にはもう少しかかりました)。
「Claim your award」が表示されたらクリックしましょう。
メタマスクが立ち上がるので、「確認」を押して承認します(ガス代がかかります)。
無事にトランザクションが完了する「Award was succesfully claimied」と表示されます。
イーサスキャンで確認すると、ラウンドのコントラクトから勝者にウォレットにリワード(0.001ETH)が送付されていることがわかります
最後に
この記事ではオンチェーン化されたProp Houseでハウスを作ってラウンドを開催する流れを解説しました。
Nouns DAOに関わるプロジェクトがオンチェーン化している中で、Prop Houseもオンチェーン化されたことは注目に値しますね。
なお、作成するハウスやラウンドを作成するごとにNFT(ERC-721)が発行されていました。
このNFTがラウンド開催者の証みたいな感じがして面白いです。
実は、この記事を作成するにあたり、実はテストで作したラウンドにバグが発生しました。
何が原因でバグが発生したかわかりませんが、Nounderであるsenecaさんが親切に対応してくれて、結果的に解決することできました。
また、senecaさんとのやり取りで、pNounsNFTはProp Houseのリワードとして設定できないこともわかりました。
これは、pNounsNFTに盗難防止機能がついていて、Prop HouseのコントラクトにpNounsNFTを送付することができないことによるものです。
(盗難防止機能は停止できるますが、今は実行しないことにしています)
自分で発行したNFTなら問題ないのですが、NFTプロジェクトで発行されたNFTを設定する場合は同じ機能を持っているNFTが存在するので注意が必要と思われます。
この記事がコミュニティに新しアイデアを提案したり、新しいメンバーの参加を促すツールとしてProp Houseを活用するきっかけになればと思います。
なお、Prop HouseはNouns DAOから資金提供を受けて開発されています。
資金提供の際の提案はこちらの記事の中でまとめています。